私は中学校で陸上部に入部し、長距離ランナーとしての人生が始まりました。
長距離走を始めてから、私の生活は大きく変わりました。
その最たる1つが朝練習です。朝練習は長距離走の競技者にとっては欠かせないものです。
今回の記事では、長距離走という競技の特性から朝練習の重要性について書きたいと思います。
長距離走は短期集中練習
趣味でのランニングなら週に数回、好きなタイミングで走れば良いと思います。
しかし、競技としてタイム向上を目標とすると、できるだけ走る量を増やしたい。
そのために実施するのが朝練習です。
朝練と言うと、学生時代に経験した人も多いのでは無いでしょうか。もしくは現在進行形で朝練習をしている人もいると思います。
私の周りには駅伝強豪校出身の人たちばかりいましたが、各校での朝練実施率はほぼ100%でした。
その一方で、長距離走以外のスポーツでは社会人・実業団になると必ずしも朝練習をしない場合があります。
スポーツ単位で比較すると長距離走という競技の特性が見えてきます。
長距離走は短期集中練習、ゆえに朝練習が必要だということが分かりました。
長距離走が短期集中?と思うかもしれませんが、理由を書いていきたいと思います。
野球の練習の特徴
そもそも長距離走は、「長い距離をいかに速く走れるか」を競います。
その第1ステップとして、まずは長く走れる体を作るために、長い距離を走り込みます。
グラウンドを集団で走る姿を想像するのではないでしょうか。
1度走り出したら一定の距離を走り終えるまで休息は取らない、これが長距離ランナーの基本的な練習です。一般的な認識通りかと思います。
では、他のスポーツと比較してみます。
私は少年野球をしていたので野球と比較します。
野球には走・攻・守がありますが、それぞれ瞬間的に力を発揮するスポーツです。
塁に向かって走る瞬間、バットでボールを打つ瞬間、飛んできたボールを処理する瞬間、必要なタイミングで大きな力を発揮しなければなりません。
そして、大きな力を発揮するためには充分な休息が必要となります。連続で何分もバットを振り続ける、ノックを受け続けることはできません。
では、その休息をいつとるか?と言えば、他の人が練習を受けている時間です。
野球では打席に立てる人数、ノックを受けられる人数が限られるので、待っている間が休息時間として割り当てられます。自分の練習まで順番待ちがあるのです。
と言っても、ただ待っているだけではなく、声出しや球拾いをしないとダメなんですけども。
つまり、野球では
・瞬発系の競技であり、充分な休息が必要
・1度に全員が練習を受けれない
この理由で、グラウンドにいる時間が非常に長くなります。
加えて、走・攻・守それぞれの練習が必要なので、練習時間も長くなりがちです。
グラウンドには長くいるものの、内容としては自分の練習時間より休息時間や待っている時間の方が多くなります。
以上が野球の練習の特徴であり、これらの特徴はサッカーなど他の球技でも共通している部分が多くあります。
競技場所が一定範囲内に限られるチーム競技で、瞬発系の種目は、長時間グラウンドで練習する傾向にあると言えます。
長距離走は練習時間内の密度が高い
野球の特徴を見て、長距離走が短期集中練習と言った理由もなんとなく分かるでしょうか。
繰り返しますが、長距離走は低強度の練習を長く行います。
休息をあまり必要としないので、ぶっ続けで練習することができます。
また、集団で走るので全員がまとまって一度に練習できます。
野球のバッティング練習や、サッカーのシュート練習のように順番を待つ必要もありません。
要するに、長距離走は他のスポーツに比べて練習時間内における密度が高いと言えます。
そして、この密度の高さが朝練習の必要性を生むことになります。
長距離走は、走った距離が長ければ長いほど、得られる効果も大きくなります。
だからと言って長く走れば良いってものでもありません。
一度に10kmしか走れない人に30km走らせれば、得られる効果以上に身体にダメージを受けます。
身体へのダメージが大きく、翌日の練習は量を落とさなければならない、となればトータルの走行距離は増加しません。
逆に怪我のリスクが高くなり、長い目で見るとマイナスになってしまいます。
怪我のリスクを抑えて、かつ走行距離を増やしたい!
このニーズを満たす練習方法が分割練習であり、朝練習です。
長距離走は、他の球技と比べ、密度の高い練習であるため、1~2時間ほど空けただけでは身体が充分に回復しません。回復時間が短ければ、次の練習に影響を及ぼします。
加えて、食後すぐに走ると腹痛も発生しやすく、食後から次の練習までは一定時間空ける必要があります。
そうなると、最低でも3~4時間は練習の間隔を空けなければなりません。
学生は日中授業があるので、走れる時間は授業前後の早朝と放課後しかありません。
体に大きな負担をかけることなく少しでも走行距離を増やしたい、駅伝に力を入れている学校はそんな理由で朝練習を実施しています。
学生時代は時間が無い
ここまで書くと、「野球部やサッカー部も朝練してたぞ!」と言う声があるかもしれません。
それは学生時代だから朝練習が必要だったと言えます。
学生の本分は勉強です。
日中の大半は授業時間となるため、その中で練習時間を少しでも確保するために朝練習を実施していたのです。
しかし、プロスポーツや実業団になり、練習時間が充分確保されると朝練習という形態は無くなります。
上記で書いた野球などのスポーツは、日中ずっとグラウンドで練習を続ける事ができます。そうなると、朝練習のように練習を分割する必要がありません。
一方で、長距離走は練習時間の密度が高いことから、練習と練習の間隔を空けなければなりません。
合宿中や実業団選手など、時間が充分にある場合でも分割練習をしなければならず、朝練習は必須となります。
つまり、学生時代は様々なスポーツで朝練習が実施されていますが、時間の制約がある中で練習時間を確保するために実施している場合が多いということです。
ちなみにですが、実業団やプロの短距離走選手は朝練習を必要としません。
そもそも、早朝は体温も低く、瞬発系の短距離走には怪我のリスクが高くなります。
また、体温が低いことから早朝は筋出力が低下することもあり、充分な練習効果も得られなくなります。
競技の特性上、同じ陸上競技でも短距離走・長距離走で練習の方法やサイクルは大きく異なります。
最後に
もちろん、朝練習によって得られる特有の効果はあります。
今ではいろんなランナーがSNSで発信していますが、
- 朝イチは空腹のため血中の糖が少なく体内の脂肪燃焼効果がある
- 早朝の運動によって血行が良くなり基礎代謝が上がる
- 夏場の暑い時間帯を避けられる
などなど、体にプラスとなる効果は多いです。
しかし、これらはあくまで副次的な効果であり、我々長距離走を競技としている立場からすれば、走行距離を増やすという目的をメインに日々朝練習を実施しています。
朝練習が必要ということは、逆算すれば早く寝なければなりません。
青山学院大学の原監督も、監督就任当初は寮の門限について選手に口酸っぱく伝えていました。
日常的に朝練習を実施するため、学生の就寝時間を定め、規則正しい生活を送ることはとても大切なことです。
以上、長距離ランナーの朝練習の必要性について書きました。
今後のブログ記事では、朝練習を実施している前提で記事を書くこともあるので、長距離走の競技者は日常的に朝練習をしているとご認識いただければと思います。
次の記事では、中学校の陸上部に入部して実際に朝練習が始まり、どのように生活が変わったのか書きたいと思います。