【思い出話】

長距離走は気持ち!?

スポーツはメンタルがとても重要と言われます。苦しくなった場面での気持ちの強さは時に勝負を大きく左右します。

特に個人スポーツである長距離走は、チームスポーツに比べても、その人の気持ちの強さに依るところは大きいと思います。

長距離走は気持ちやメンタルが強調されやすいスポーツの1つたと思いますが、逆に強調され過ぎな面も否めません。

今回の記事は、陸上競技歴15年以上の私が中学時代にあった、印象に残っている出来事について書きたいと思います。

うちのチームの練習場所

当時、中学1年生の私は1500mで県大会出場を決めており、6月の大会に向けて練習していました。

この日はポイント練習で、メニュー内容は1000m×3本、設定タイムは3分25秒くらいだったと思います。

私たちの学校裏には山が広がっています。
山の中の道路は人通りが少なく、アスファルトで舗装されており、私たちのポイント練習場所となっていました。

片道1kmの専用コースはほぼ平坦、緩やかなカーブの道路となっており、絶好のランニングコースです!

学校から数百メートル離れた先にこんな走りやすいコースがあったので、長距離走をやる環境としては恵まれていたと思います。

うちのチーム事情

うちのチームには、この時14人メンバーがいました。内訳は3年生が6人、2年生が2人、1年生が6人です。

中でも3年生はレベルが高く、3000mを9分台で走れる選手が4人もいました!

そのうちキャプテンとエースの2人は、どちらも9分30秒を切るくらいで走ってました。

最近の中学生はレベルが高く、8分台ランナーもめちゃくちゃ増えてますが、この頃うちの中学校や市内では3000m9分台で走れることはそこそこ強いランナーとしての1つの指標でもありました。

今のレベル感はどうなんでしょうか。ちなみにこれは2010年以前のお話です。

練習では14人が全員一緒になって走ります。当然ながら上と下のレベル差はかなり開いてます。

大部分の選手にとって1000mを3分25秒というタイム設定は適切ですが、下のレベルの選手にはほぼ全力疾走となるペースです。なんなら1000mだけ走らせても達成できるか分かりません…

しかし、上2人の選手にとっては物足りないペースです。

本来はAグループBグループと2つに設定タイムを分けて練習すべきかもしれませんが、先生が1人だからそういうわけにもいきません。

トラックのような周回コースならまだ目が届くかもしれませんが、片道1000mのコースとなれば1グループにしなければタイムも計測出来なくなるのです。

中学校の練習現場では、それぞれの選手レベルに合わせた設定タイムで練習する事はなかなか難しいですね。

ラストはフリーになりがち

1000mの休憩時間であるレストは2分間ですが、下のレベルの選手は1本目から遅れる事もあります。

10秒遅れてゴールすれば、2本目出発するまでのレストは10秒少ない1分50秒になり休憩が短くなるので、2本目はさらに遅れてゴール、と言った具合でジリ貧状態です。

一方、上のレベルの選手は余裕があるので3本目は設定以上のタイムでぶっ飛ばします。3分を切るタイムで走ることも。

という具合なので、インターバル練習のラストはいつもフリー状態、設定タイムは関係なく、皆が全力疾走です。

先頭と最後の選手のタイム差は、1000mなのに1分ほど開くこともしょっちゅうでした。

この頃の私は市内の同級生に負ける事は無いレベルだったので、練習でも先輩を追いかけて必死に走り、チームの中では上の方でゴールしていました。

反対に、他の同級生達はいつもチームで下の方を占めていました。

仕方が無いことだと思いますが、この状態が続いている中で先生は同級生達にこう伝えます。

「もっと強い気持ちをもって走るんだ!まだまだ気持ちが足りない!」

そして先生は、先輩に着いていく私は気持ちが強いと言うのです。

この言葉、私は褒められてるので嫌な気分はしませんが、ずっと疑問がありました。

と言うのも、同級生達の中には陸上が好きで、走る事が好きだから長距離走をやっています。

元々走るのが得意で先生に誘われて入部した私よりも、彼らの陸上競技にかける気持ちは比べ物にならないくらい強いです。

そんな彼らが私より気持ちで劣っているとは思えませんでした。
私自身、臆病でビビりな事も自分でもよく分かっていました。

だからこそ私は、「本当に気持ちの差なのか?たまたま足の速さに差があっただけじゃないのか?」と思い続けていました。

実際、負け続けることで勝てないと思い込んだり闘争心を無くしたりと言った事はありますが、普段の練習では明らかに気持ちだけではどうにもできない差がありました。

気持ち以外の差を埋めるとすれば、例えばフォームを見て悪いクセを無くす、筋力の弱いところを強化する等が必要ですが、これには専門的な目が必要です。

元々投擲選手であるうちの顧問には正直分からなかったと思います。

しかも、後ろから車で追いかけてフォームなんてまともに分かりません。14人まとめて走っていれば尚更です。

ただ、先生は非常に熱心に私たちを指導してくれました。
ここ数年ではチームのレベルが1番高く、駅伝で上位を狙える選手が揃っていたからこそ、先生の気持ちも入ります。

これらの環境下で生徒に発破をかけるとしたら、「気持ちが足りない!」「気持ちで走れ!」と言いたくなるかもしれません。

長距離走あるあるですね。

最後に

こんな環境だったからこそ、私は人には情熱があるだけでは埋まらない大きな差があると思っています。

才能、遺伝、生まれ持った骨格など、努力だけじゃどうしようも出来ないアドバンテージを持ったランナーはたくさんいます。

よく世の中には、「努力は裏切らない!」的な事を言う人がいますが、私はこの言葉に否定的なんです。

中学校時代だからこそ私は才能ある側でしたが、これが大学・社会人まで進んでいくと、段違いの才能を持った怪物ランナーが山ほどおり、彼らは私たちを一足飛びに越えていくのです。

ただ、学生スポーツなら勝利至上主義になる必要もないと思っています。

努力したって思うようにタイムは伸びないし結果も出ない時なんて山ほどあります。むしろこっちの方が多いです。

それでも、粘り強さや逆境の強さなど、努力する事で培われた能力はたくさんあります。

だからこそ個人的には、「努力は裏切らない」ではなく、「努力は無駄にならない」と言った方が適切だと思っています。

とは言え、やるからには勝ちたいのが人間というものです。

その場合、自分の得意な事、適正を見極めなければなりません。

林修先生の言っていた、「正しい場所で、正しい方向で、十分な量なされた努力は裏切らない」という言葉は的を得ていて、とても私の心に残っています。

この言葉を知ってから自分の人生を振り返ると、私が中学生から長距離走を始めた事は、正しい場所を選択していたのだと感じます。

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